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S.541, R 211

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Blessed are they that mourn: for they shall be comforted.


Matthew 5 : 4








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No2 Op.9-2


Melodies of Love, Dreams of Remembrance.








Nocturne

#11 ヴォジンスカ家の同意を得て、ショパンは、マリア・ヴォジンスカと結婚を前提とした交際を始める。 だが、マリアの母テレサは、ショパンの健康状態と身分の違いに不満を抱き、様々な条件を突き付け二人を引き離そうと謀をめぐらす。 その手立てが働き婚約は破棄され、ショパンは悲嘆に暮れる日々を送るようになる。 この後、マリアは、ユーゼフ・スカルベックと婚姻する。 ユーゼフの父親であるフレデリック・スカルベックはショパンの代父にあたる。

#12 マリアとの破局を経て、ショパンはマリー・ダグー伯爵夫人の紹介で、作家のジョルジュ・サンドと出逢う。 サンドはショパンに創作に打ち込む環境を与え作曲家としての全盛期へと導く。 だが同時に、自由奔放なサンドの振る舞いに惑わされ続け、ショパンは更なる苦境へと追い込まれていく。 名声と栄誉を得た見返りに過酷な公演スケジュールが続き、疲れが徐々に体を蝕み始め、脱出出来ないほどの躁鬱状態に陥る。 作曲は疎か、あらゆる物事への関心や情熱、遂には生への執念をも潰えてしまう。 サンドとの別離の三年後、自らが願った ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの「 Requiem K.626 / レクイエム 」の調べに送られ永遠の眠りにつく。

#13 マリアとの密月の間に、ショパンは彼女に宛てた曲を残している。 それは愛に満ち溢れた心情から生み出された甘く優雅な旋律のワルツで、「わが哀しみ」と綴られたマリアから贈られたバラの花と手紙の束と共にショパンの死後に至まで公表されることはなかった。  その曲は「 Nocturne Op.69-1 / 夜想曲 変イ長調 作品 69-1 」後に「 別れのワルツ 」と呼ばれるようになる。  彼の可能性を引き出すと同時に、夭逝へと導いたのはサンドだが、マリアへの想いは生涯変わることはなかったのだろう。 

#14 リストは マリー・ダグー伯爵夫人との破局を迎える間際、ショパン(サンド)を介して演奏旅行を口実に マリーの元を離れる。 そして巡演先のパリで終生の恋人となる カロリーネ・ツー・ザイン = ヴィトゲンシュタイン侯爵夫人と出逢い、演奏家としての経歴に終止符を打つことを決意する。 彼女の支援のもと活動の場をロシア宮廷に移す頃、二人の感情は成熟したものへと発展し婚姻を誓いあうまでの仲になる。 だが、周囲には様々な障害と圧力が加わり続け、抗うも、皇帝の意向と法王の権限を前に遂に実現することはなかった。 それでもなお二人の関係はリストが死を迎える直前まで途絶えることはなかったという。 
 
#15 願いは阻まれはしたが、この苦難も作曲家としてのリストの才能を不遇に至らしめるまでには及ばず、以後数々の名曲を産み出し世に送っている。 リストがカロリーネとの結婚を夢見て作曲したと伝えられる「 Liebestraume - 3 Notturnos S.541, R 211 / 愛の夢 第三番 」の副題は「 三つの夜想曲 」。 夢を追い求めることは、生き続ける限り尽きることはないのだろう。 だが、夢にまで見る日常は、着重ねた鎧を纏うように片時も離れることはない。 その奥底には人知れぬ深い悲しみが横たわっている。 

#16 すべては、何故か極限られた狭い世界で起こるもので、そこに在る複雑な人間関係が絶えず温床となり、生涯癒えることのない傷を刻み続ける。 仮に、歴史の流れが入れ替わり、リストが授けられ、そして易々と手放した「騎士の位」をショパンが譲り受けることが出来ていれば、きっと状況が変わったのだろう。 ならば、病的なまでに繊細で、どこか影を纏う哀愁に満ちた美しい旋律の幾つかは存在し得ただろうか… きっと、犠牲にする運命を背負って生まれてきたのだろう。

#17 教養と官能に疲れた憂鬱で病的な美的生活は受け入れ難いが、作曲家にとって恋愛は欠かすことのできない要素なのだろう。 楽曲の誕生には常に複雑な成立事情を伴う。 時に切なくも甘い感傷的な美しい旋律に彩られた見果てぬ夢を思い浮かばせる。 ボクは、この止め処もない調べを奏でる多くの故人に包まれながら夜を過している。 憂いを癒してくれる夜を。


If you remain in me and my words remain in you, ask whatever you wish, and it will be done for you.

John 15 : 7


word of rejewel






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by rejewel | 2012-09-01 00:00 | Gadget


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